A級チェリストへの道

チェロの上達のちょっとしたスパイスに

バイオリニストに言いたい導音の扱い

導音。ドミナントからトニックに解決する際のドミナント長三度音のこと。

簡単に言うと、「起立、礼、着席」のドーシードー♪のシの音。

 

バイオリニストは導音となると何でも音を高くとる。特に絶対音感を持っている奏者に顕著な気がする。

教育のせいなのか、導音は高くとりましょうという教えがあるからなんだと思う。

これ正しいし、正しくない。高くとる場合と低くとる場合があるのだ。この理解をしないと、弦楽四重奏などでハーモニーの快感は味わえないだろう。

バイオリニストに例を挙げてしまったが、全楽器奏者は知っておいた方がいい内容だ。

 

○導音を高くとる場合

導音は高くとると確かに気持ちいい。聴いてる方もだ。特にマイナー・キーの曲なんかは。

なぜかというと、まず導音を弾いている際の和音はドミナントといって、不安定な和音が鳴っている。ドミナントは安定した響きのトニックに解決したがる。

導音を高くとるとその不安定感がより劇的になり、トニック音に解決したときの快感が増すのだ。

 

「不安定感がより劇的になり、解決した際の快感が増す」

 

これを覚えておこう。だから導音は高くとる。逆にいうと、牧歌的な曲想で落ち着いた雰囲気を出したいなら、高くとらない方がよい。ここらへんは音程をコントロールできる楽器ならでは。

 

しかし、これはメロディ・パート限定の話。

 

○導音は低い方がハモる

聞いたことあるだろうか。長三和音における第三音は少し低くとると。これは事実。

バイオリニストとビオリストもチェリストも試して見てほしい。G線開放弦、D線開放弦、A線の1指H音の和音「G」を弾いてみよう。H音を気持ち低くとらないとハモらないはずだ。

 

このH音が長三和音における第三音。

Cメジャーのキーではこの和音がドミナント(7thのF音を加えることが多い。H音とF音の音程差が増音程なので不安定感がある)となる。

 

ってことで導音は低いのだ。

「和音としてハモらせる場合は導音は低くとる」

これを覚えよう。

 

○まとめ

ざっくりまとめると、メロディの人は高く、伴奏の人は低く導音をとりましょうということ。

 

○メロディと伴奏の両方に導音が出てきたら?

弦楽四重奏のスコアを見てみよう。その場合はほとんどない。導音被りはどの作曲家も避けているのだ。

もちろん被る場合ともある。でもその場合はおそらく音価が違うだろう。伴奏の導音は4分、メロディは16分とかになっているケースが多い。

これはどうするかは一律には言えないが、2つの音程が混在していいと考えている。

 

この導音問題。チェリスト、ビオリストは感覚的に分かっている人が多い。バイオリニストは知らない人多い。あくまでも僕の感覚で。

でもさ、バイオリンだってたくさん伴奏するじゃん?   その時にハモらない導音を弾いて気持ち悪くないのかね。、

 

ちょっと愚痴っぽいけど、半端な絶対音感持ちの人に多いの。「俺のH音はこの音!」みたいな。なんかひとつの音程しかないんだよね。

弦楽四重奏とかやっていて一番ストレス溜まるのがこのタイプ。周り聴けよ。歩み寄れよ。

 

導音ってのは曲のキモに出てくる音。もっと大切に扱いましょう。

 

では。