フレーズの躍動感
スーパー上昇曲線を描き、チェロライフを満喫している僕の今の課題。
「弓の初速」
フレーズを弾いてて、どうもノッペリしてるなーって思う時は、大体弓の速度と音楽が一致していない。そう、弓が遅い。
僕の大好きなJerusalem Quartettoのチェリスト、Kyril Zoltnikovの弓捌きを見るとよくわかる。
この最初のA音。なんと素晴らしい。この1音だけでフレーズの躍動感が伝わる。
そう、音楽を奏でるとき、決して弓の動きは均等でない。同じ旋律でも1音で50センチ使うときもあれば、4音で10センチも使わないときもある。同じ音を弾いてる瞬間でさえ、弓の速度は著しく違うときもある。
楽譜にアーティキュレーションとか何も書いていなくても、フレージングからどういう弓使いが適切かを読み取る。そして適切な弓の配分が躍動感を生み、メトロノーミックではない自然な流れとしてのテンポが生まれる。
適切な弓の配分によるフレージングは身体全体にも現れる。するとアンサンブルの周りの奏者との連携もうまくいく。ここは前に行きたい、ちょっと溜めたい、そういったことは打ち合わせで合わせなくても、音さえ聴いてもらえれば自然と分かる。
むしろそうしないと音楽は流れなくて、不自然になってしまう。決めるのではなく、周りがそうしたくなるように弾けばいいだけ。
楽譜に書いてある音の羅列を音楽にするのは僕の右手。これができるようになったら本当に素敵だな。A級チェリストへの大いなる前進。