押弦
音程は左手、音質は右手。一般的な弦楽器のイメージ。
だが、自在な音質をコントロール大前提として、押弦をしっかりする必要がある。
押弦が甘い人には次のような共通項がある。
・ffが出せない
・ppが通らない
・音程がぼやけてる
・音の輪郭がクリアでない
・これらの問題は押弦のせいだとは考えない
・押弦が甘いという自覚がない
逆に押弦をしっかりすればこれらはクリアできる。自分もそうだったため、僕は押弦の緩い音は聴いた瞬間分かる。チェロでもビオラでもバイオリンでも。
該当する項目があれば、おそらく原因は右手でなく、押弦にある。これに気が付かないで、右手のせいにしてしまいがちだ。
押弦をしっかりするにはどうすればよいのか。僕はレッスンで教わった。
1.腕の自重を利用する
2.親指は添えるだけ
3.親指は中指の裏側
4.指は立てる
とても合理的で、どれも欠かせない要素だ。ヴィルトゥオーゾ達を見てみれば分かる。構えはみんな違うし、右手のスタイルも様々だ。しかし、左手の形だけはみんな一貫している。
ひとつずつつまんでみよう。
1.腕の自重を利用する
イメージは電車の吊り革だ。肩から全体の重さをかけるだけ。手は絶対に握らない。スムーズなシフトの妨げになるし、音の柔軟性も失われる。
2.親指は添えるだけ
腕の自重が掛かっていれば握る必要はないし、おそらく握ると各指が正しい位置にはならない。拡張の際は必ず4指の音程が低くなっているはずだ。
3.親指は中指の裏側
これは腕から手の甲、各指のラインに影響する。親指が人差し指側にいると、肘が下がってしまい、腕の自重がかけられない。また、各指が広がらずに正しい音程を取れなくなる。
親指が人差し指側にいる人は、私は音程が悪くて押弦が甘々ですと宣言しているようなものだ。実際そうだし。
4.各指は立てる
分かりやすくいうと、手の甲を潰さないで全体的に丸みを帯びさせるということ。
これは慣れないとつらい。指の筋肉不足ですぐ潰れてしまう。楽器を弾かない期間があると如実に影響が出る部分のひとつ。
シュタルケルの教本はこの指筋を鍛えるメニューが満載だ。10分やっただけで指がプルプルしてしまう。
僕はこの問題を克服してから、アンサンブルでハモるようになったし、深くクリアでダイナミクスレンジの大きい音を出せるようになった。特にppの音の通り方が段違いによくなる。